中高生の裁判体験 -サマースクール 2007-

 8月23日、当会主催で、神奈川県内の中高生53名の参加のもと、裁判傍聴と模擬裁判を体験してもらう「サマースクール2007」を開催した。
 当会においては、従来から、出前授業・模擬裁判・裁判傍聴会を広く開催してきているが、5名以上の参加者がいないと申込みできない運用となっているため、生徒が法教育に興味を持ち、模擬裁判等を体験したいと思っても、学校単位での申込でないと参加できないという問題があった。
 そこで、夏休み期間中に開催し、また神奈川県内の中学生・高校生を対象に広く公募することによって多数の生徒に参加して法教育に触れてもらえるよう、今回の「サマースクール2007」を開催することにしたものである。
 裁判傍聴では、「こんなに細部にまで神経を張り詰めて尋問しているのに驚いた」との声が上がるくらい、証人尋問での検察官・弁護人の対決に熱心に聞き入る生徒の姿が印象的であった。
 模擬裁判は、深夜、倉庫に侵入した上、警備員を殴って怪我をさせて強盗致傷罪に問われた被告人が、「雨で濡れて寒くて仕方がなかったので寝るために倉庫に入った」旨弁解して強盗致傷罪の成立を争う、「窃盗の意思」の有無が争点となるシナリオに沿って行われた。生徒たちは、弁護士のアドバイスのもと、裁判官、検察官、弁護人の役に分かれて本番同様のやりとりを体験し、また少人数に分かれて評議を行った。
 評議においては、被告人の捜査段階の供述と公判供述の矛盾点を指摘する声が上がる一方、被告人の公判供述と客観証拠に矛盾点がないことを重視する意見が出るなど、活発な論戦が繰り広げられた。
 生徒からは、テレビドラマを見ていると、判決はスパッと下せるものだと思っていたけど、実際にやってみると、証拠をどうみるかといったことがあって、判決を下すのは難しかった、という感想があった。
 当初予想を大幅に超える中高生が参加し、生徒たちは満足げに帰宅の途についていた。見学した学校の先生からも本イベントを賞賛する声が寄せられていたことをあわせ、本イベントは大成功を収めたと言ってよいと思う。今後も継続してこの種のイベントを積極的に立ち上げ、さらなる法教育の発展に寄与していきたいと考えている。

(法教育委員会委員 種村 求)
横浜弁護士会新聞 2007年10月号より転載