7月28日、神奈川県内の中高生53名の参加のもと、模擬裁判と裁判傍聴を体験してもらう「サマースクール2009」が、当会主催のもとに開催された。
当会では、普段から模擬裁判・裁判傍聴会・出前授業を行っているものの、学校単位での申込でなければなかなか参加がむつかしいものとなっている。そこで、夏休み期間中を利用し、また神奈川県内の中高生を対象に広く公募することにより多数の生徒に法教育に触れてもらうために開催しているのが、このサマースクールである(3年連続開催)。
模擬裁判では、生徒たち自身が裁判官・検察官・弁護人それぞれの役を熱演した後、「窃盗の意思」の有無についての評議をおこなった。評議では様々な意見が飛び交い、結論を導いた理由付けもしっかりなされるなど、弁護士顔負けの内容であった。
裁判傍聴では、刑事事件を傍聴し、生徒たちは実際の裁判官・検察官・弁護人の一挙手一投足を熱心に観察していた。
生徒たちからは、「普段会話することのない他校の生徒と意見を交わすことができて貴重な体験をした」「一つの事件に対して『その事実があったのか』と判断することが想像していたより難しく、同時にとても楽しかった」「裁判や法律をぐっと身近に感じることができた」「1日を通して,裁判の重大さ,人を裁くことの大変さがよくわかった」「大人になったら是非裁判員をやってみたい」などの声が寄せられ、終了式のときの生徒たちの充実した表情が印象的であった。
裁判員制度の実施や神奈川県知事から県教育委員長への「全県立高校で『模擬裁判』『模擬投票』が体験できるよう取り組んでほしい」旨の要請もあり、現在、法教育は活性化している。今後もサマースクールを継続し、法教育のさらなる発展に向けて取り組みたい。
(法教育委員会委員 種村 求)
横浜弁護士会新聞 2009年9月号より転載